ここで言う色とは、NT以外のC、D、H、Sのビッドのことをさします。以下に上げる実戦例を見ながら、どのように戦えばいいのかを学んでください。
aの視点で見ていきます。
aの手(手持ちのカードのこと)
C7A D258JA HJ S7Q
aの手はナポレオンをやるのにとてもいい手です。実際にどういいのか、見てみましょう。
ナポレオンはaに決定。ビッドはD15。副官はマイティ(SA)。
aはD15で立ちました(ナポレオンとなった)。aが切り札をDにした理由は、次のようなものです。
aがもしCかSを切り札にしたら、赤の二枚のJはただのJとなりますが、DかHを切り札にすれば、3役のうち2役を持つことになります。また、一番枚数の多いスートを切り札にすれば、それだけ強いカードを多く持つということになります。これらの条件は切り札を決めるときに最も重要なことですので、よく覚えておいてください。
副官にマイティを指定したのは最も強いカードですから、当然と言えます。この例のように自分がマイティを持っていない場合、ほとんど副官はマイティになります。
中引きは D7 H4Q
C7 S7Q を代わりに捨てる。
中央のカードから切り札を1枚引きました。手札のスートを偏らせるために、少しもったいないようですが絵札であるSQを捨てます。
aの手
CA D2578JA H4JQ
1巡め a:CA b:C8 c:C3 d:C9 e:CQ
aの勝ち。絵札2枚ゲット。
初巡にセイム2や切り札などは効かないので、CAの勝ちは確定しています。また、打ち出しをCAにしたことで、黒のカードはもう1枚もありません。すなわち、今後誰かに打ち出しの権利がわたったとき、黒のカードを出してくれば切り札を使って勝つことができます。このように、手札が切り札に偏っているということはとても重要なのです。
2巡め a:D2 b:D3 c:D4 d:D6 e:DK
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
3巡め a:DJ b:D9 c:S4 d:D10 e:C4
aの勝ち。絵札2枚ゲット。
4巡め a:DA b:H5 c:S6 d:DQ e:H10
aの勝ち。絵札3枚ゲット。
3巡いっきに進めましたが、ここでのポイントは、”切り札を刈る”ということです。aは3巡連続して切り札の強いカードを打ち出し、勝っています。D2、J、Aと、毎巡ほぼaの勝ちが確定しているカードを出しているので、連合としてもどうしようもありません。連合軍の切り札をなくしてしまうのです。こうしておけば、ナポレオンの切り札は、もう打ち出しのジョーカーとマイティ以外に負けることはありません。マイティは副官です。
aの残りの手
D578 H4JQ
出された切り札の枚数と、自分の切り札の枚数を合わせるとすでに切り札は13枚の位置が判明しているので、連合側に切り札はもうないことがわかります。切り札が何枚でたかはできるだけ覚えておくようにしてください。
5巡め a:D8 b:H8 c:C5 d:H3 e:S10
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
やはり連合にもう切り札は無いので、8のような低めのカードでも勝ててしまいます。もし仮に2巡目にD8を出していたら、1巡余計に負けていたことになります。すでにナポレオン軍の勝ちはほぼ確定しているのですが、最後まで進めてみましょう。
6巡め a:D7 b:H9 c:C6 d:H6 e:H7
aの勝ち。絵札0枚ゲット。
7巡め a:HJ b:S9 c:HK d:S8 e:H2
aの勝ち。絵札2枚ゲット。
8巡め a:D5 b:C2 c:S2 d:S5 e:jo
aの勝ち。絵札0枚ゲット。
9巡め a:HQ b:C10 c:HA d:SJ e:SA
eの勝ち。絵札5枚ゲット。
ここで副官の位置が確定し、ナポレオン軍は15枚以上絵札を取っているのでメイクとなりました。
aの視点で見ていきます。
aの手
C28 D6J H36QA S9 jo
Hが多く、joやDJもあるので、Hを切り札とするのがいいでしょう。
ナポレオンはaに決定。ビッドはH14。副官はマイティ。
副官をマイティとするのは当然です。
中引きは C3 DQ H7
C38 S9 を代わりに捨てる。
aの手
C2 D6JQ H367QA jo
1巡め a:HA b:H8 c:H10 d:H4 e:H5
aの勝ち。絵札2枚ゲット。
実戦例2とおなじように、切り札を刈りに行きます。HAに対してH2やHJを出しても、初巡なので勝てません。
2巡め a:C2 b:C10 c:C9 d:C5 e:C6
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
joを打ち出して切り札を刈りに行きたいところですが、その前にC2を出しておきます。早い段階で2を出せば、それだけセイム2の成立の可能性は高まります。10中8、9は成立するとみてよいでしょう。
3巡め a:jo b:H9 c:S4 d:H2 e:HK
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
aの手
D6JQ H367Q
aはjoを出しました。切り札を出さなければいけません。HJでも勝つことはできません。しかし結果を見ると連合か副官にHJが残ってしまったようです。また、これまでに出た切り札の枚数を考えると、連合あるいは副官が持っているHのカードは、HJだけのようです。
4巡め a:H6 b:SA c:S3 d:D4 e:HJ
bの勝ち。絵札2枚ゲット。
HJを出させるため、Hを打ち出します。ここでbからSAが出てきました。bが副官です。
副官であるbの目から見ると、ナポレオンがH6を打ち出したということは、連合側に、何枚かはわからないがHが残っていること、また、少なくともHJが残っていることを示しています。これは、テーブルの上に表向きになっている絵札を見ればわかることです。また、仮にナポレオンがHJを持っているとすれば、副官に対し非常に不親切な出し方ですから、それはないと考えていいでしょう。状況から考えて、この巡でHJが出てくる可能性はかなり高いので、bはマイティを出したのです。このように、ナポレオンが刈りきれなかった切り札を、マイティで取るというのは、マイティの有効な使い方です。これは実戦でよく起こることなので、ナポレオンが負ける切り札を打ち出したら、基本的には副官のSAを出す合図だと覚えておいてください。
本来であれば2番目に強いはずのHJが、初巡のA、jo、マイティによって、活躍する暇を与えられませんでした。
5巡め b:D8 c:D9 d:D7 e:DK a:D6
eの勝ち。絵札1枚ゲット。
副官はDを打ち出してきました。DJを出せば勝つことができますが、絵札が1枚しか出ていないので、D6を出して負けておきます。以下ほぼ必然の流れで勝ちが確定します。
6巡め e:CA a:HQ b:C4 c:CJ d:C7
aの勝ち。絵札2枚ゲット。
aの手
DJQ H37
7巡め a:H7 b:D10 c:D5 d:S7 e:S6
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
8巡め a:H3 b:SJ c:S8 d:S2 e:D3
aの勝ち。絵札1枚ゲット。
9巡め a:H3 b:SQ c:DA d:S10 e:D2
aの勝ち。絵札3枚ゲット。メイク確定。
まとめ
ナポレオン
副官