NTは切り札のあるビットに比べかなり難しく、感覚もかなり違う物です。
ノートラで戦うのがいいと思われる手は、次のような手です。
1の手を見ると、Dにカードが偏っていますが、Dで立つ(Dを切り札にしてナポレオンになる)と、正J、裏Jを持っていないのがまずそうです。
2の手の場合、どれかのスートが偏ってるわけではないのですが、2やA、Kが多く、joもあります。
ではまず、1のような手でナポレオンになった場合の戦い方を考えてみましょう。仮にNT15で立って、副官はSA、中引きでD3を引き、それとH3入れ替えたとします。これでDは7枚持ちということになります。
初巡に出すカードは、DAです。これは初巡に勝つと同時に、2巡め以降のDでのセイム2の成立を防いでいます。
2巡目に出すのはC2です。色で立った場合と同様、セイム2は早い段階で出す方が成立する確率は高いからです。ちなみにここでセイム2が成立しなかった場合、誰かがDを打ち出さない限り自分に手番が帰ってくることはないので、非常に苦しくなります。それだけに、NTはリスクの高いビッドといえます。
セイム2が成立したら、3巡目、4巡目はDK、Qと出していきます。これが負けることはありえません。このあたりは色で立った時の切り札刈りと感覚が似ています。そしてこの段階で、他のプレイヤーにDが残っていることはまずないでしょう。仮にD10やJが残ってしまったら、自分に手番が帰ってくることは、やはりまずないでしょう。そうなったら後は副官に期待するしかありません。
Dが他のプレイヤーに残っていなければ、残りのDを順に出していきましょう。すでにDは誰も持っていないし、色で立った時と違い、裏J等に負ける心配をする必要もありません。つまり、副官がSAを出さない限り、Dのある限り、ナポレオンは絶対に勝ち続けることができます。
Dは残り4枚だったので、8巡目まで勝つことができます。また、SAは絶対に勝つことができます。残りの1巡は負けても最大5枚しか絵札をとられないのですから、メイクは決まります。
このような戦い方ができる手として、他には、
CA D4 HAK642 SQ58
や、
CKT643(Tは10こと) D2 SA5 jo
等が考えられます。
前者のような手の場合、CAを初巡にだせば、2巡目にはH2を出すことができ(HAを初巡に出したりすれば、H2はセイム2として成立しなくなり、逆にCAを後で出した時にセイム2に負ける可能性が高くなる。)、Hを上から3巡押せる(勝てる)形になります。
後者のような場合はSAを持っているので、副官をCAにし、初巡にCの低いカードを出せば、副官がCAで勝ちます(ここでCAを出さなければ連合に勝たれるので、副官はCAを出す合図だと思わなければならない)。SAを持っているので打ち出しの権利は必ず来ます。その後D2を出し、joでCを請求してCKを出していけば、Cで押せるようになります。
1のようなタイプのNTのポイントは、
などです。
但し、例からもわかるように、このタイプのNTは不測の事態が起こると、非常に勝ちづらくなるという特徴があります。
2の手はやや上級者むけの手です。2やAが多く、一目強そうですが、具体的な戦い方の方針が見えづらく、初心者の人がこういった手で勝つのはなかなか難しいのです。
C2A DKA H26 S45K jo
こうした手のポイントは、1の手のパターンに持っていく、ということです。1の手では、Dに手札が偏っていたので、Dを中心にして戦いました。これと同じように、中引きでうまく手札を調節し、どれかのスートを中心に戦うようにすればよいのです。
C57 HT
仮に中引きでこの3枚を引いたとします。
C257A DKA H2 S5K jo
手はこのように変えます。
初巡の打ち出しはDAです。これを打ち出しにしておけば、後でDKを出した時に、セイム2が成立する可能性が低くなります。
次に、C2、H2と出していきます。これらは成立すると考えてよいでしょう。
さらに、CAを出し、joでCを指定します。同一のスートを3巡打ち出せば、8割がた、その他のプレイヤーにそのスートのカードはなくなります。
よって、Cの残り2枚も、勝つことができるでしょう。こうしておいてから、DKを打ち出せば、セイム2が成立することはまずないでしょう。
低いビッドであればこの段階で勝ちが決まります。
仮に中引きがDが2枚だとしても、Dでも上から3巡勝つことができるので、Dを中心にして戦うことができます。逆に言えば、SやHのカードを引いた場合には、少し苦しくなるかもしれません。
問. 2の手の解説のところで、仮に初巡にDKを打ち出した場合、どのような違いがあるか。